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日々刻々と進化を続ける生成AIは、広告制作やブランドコミュニケーションの現場に、新たな問いを投げかけています。これまで大規模な撮影、緻密なCG、膨大な時間と予算が必要だった映像表現は、AIによってどこまで拡張できるのか。そして、誰もが映像を作れる時代に、プロのクリエイターはどのような価値を発揮できるのでしょうか。アマナでは、AI特化型プログラム「A³ School」を始動。選抜されたアマナのトップクリエイターが3ヶ月間、既存業務を離れてAIの研鑽に没頭するという異例の体制で、クリエイター独自の審美眼と最先端AI技術を掛け合わせ、次世代の制作スタンダードを探求しています。本記事では、A³ Schoolの講師も務める広告映像ディレクターの橋本伸吾氏をゲストに迎え、アマナでCG・レタッチに長年携わってきた中島 輝が、AI動画制作の現在地とこれからの可能性について伺いました。物理的な制約を超え、「ありえない画」を広告表現にする中島:橋本さんにはアマナの「A³ School」の講師としてご登壇いただき、AI動画制作の実践的な知見を共有していただきました。広告映像の第一線で活動されてきた立場から見て、生成AIと映像表現の相性をどのように感じていますか。橋本伸吾さん(以下、橋本。敬称略) :一番大きいのは、これまでなら制作が難しかった世界を、PCひとつで実現できるようになったことです。宇宙空間、未知のモンスター、満員のスタジアム、巨大な女神が現れるような非現実的なシーン。従来であれば、大規模なロケやセット、CG制作が必要だった表現に、かなり早い段階から手が届くようになりました。中島:撮影条件などの制約によって、企画段階で諦めざるを得なかった表現にも挑戦できるということですね。橋本:そうです。たとえば、小規模な予算では到底難しいようなスケールの画でも、AIを使えばプロトタイプとして立ち上げることができる。もちろん、そのまま完成品になるとは限りませんが、「このブランドなら、ここまで想像を広げられる」という提案の幅は確実に広がります。AI動画の魅力は早く作れることだけではありません。物理的な制約を取り払い、ブランドの世界観を拡張できることにあると思います。橋本伸吾(はしもと しんご)広告映像ディレクター。博報堂プロダクツを経て独立し、ユーモアとシズル感のある映像表現で多数の広告を手掛ける。2023年末から生成AIを用いた動画制作を本格化させ、2025年にはAI動画制作会社「GEN CRAFT」の創立メンバーとしても活動。動画生成AIが得意な表現、まだ人間に委ねるべき表現中島:一方で、AI動画には得意不得意もあります。橋本さんは、どのように見極めていますか。橋本:短尺でインパクトがあり、ユーモアや誇張を含む表現はAIと相性がいいですね。広告のように、短い時間で強い印象を残す必要がある映像には向いていると思います。逆に、長尺の人間ドラマや、視線、間、ため息のような繊細な感情の機微は、まだ難しい。じっと見ているからこそ伝わる人間の微細な動きは、今のAIだけでは十分に再現しきれない部分があります。中島:AIでできることが増えるほど、どこに使うべきかを判断する力が重要になりますね。橋本:まさにそこです。AIなら何でもできる、という捉え方は危険です。大切なのは、AIに向いている表現と、人間の演技や撮影の力を生かすべき表現を見極めること。広告制作では、最終的にブランドの価値やメッセージが伝わるかどうかが重要ですから、技術の新しさだけで判断してはいけないと思います。「職人不在」の制作現場で、プロは何を見るのか中島:アマナの制作現場では、長年、大規模なスタジオで多くのスタッフと力を合わせて動画のシズルショットやビジュアルを作り上げてきました。その過程を知る身としては、今やデスクトップでコンテンツを生成してしまうAI制作の状況に、正直なところ「脳がついていかない」ような戸惑いを感じる瞬間もあります。橋本:痛いほどわかります。AIでの映像制作は、言ってしまえば「職人不在」の映像制作です。AIの制作現場には、これまで頼りにしていたフォトグラファー、美術デザイナー、ヘアメイク、スタイリスト、CGアーティストといったプロフェッショナルたちが誰もいません。フォトグラファーがレンズ選びやライティングの微妙なグラデーションの階調にこだわるような、あの美しいクラフトのプロセスをすっ飛ばして動画が完成してしまうことに対して、私自身も一人の映像制作者として、非常に強いモヤモヤを抱えています。中島:その葛藤と、どう向き合っているのでしょうか。橋本:本当は優秀なフォトグラファーにじっくり撮ってもらい、みんなでモニターを見ながら「このアングル最高だね」と語り合う現場の方が楽しいに決まっています。しかし、時代が変わってしまった以上、それを嘆いていても仕方がないんですよね。これまで長年培ってきた経験を、次はAIという新しいツールの中で活かしていくしかありません。職人が不在だからこそ、出来上がった映像や画像を「今まで以上に厳しく視る」必要があります。中島 輝(なかしま てる)フィルム時代からデジタルへの移行期を制作現場で経験し、アマナにてCG制作やレタッチに携わる。長年の現場経験を活かし、現在は社内のAI推進担当として実務への生成AI導入や制作環境の構築に取り組んでいる。 実写とAIのハイブリッドが、映像に「人間の気配」を宿す中島:完全にAIだけで完結させるのではなく、実写と組み合わせる手法にも可能性を感じているそうですね。橋本:はい。特に注目しているのは、実写をモーションリファレンスとして使う方法です。AIでアニメーションを作る際、プロンプトだけで動かすのではなく、まず役者さんに実際に演じてもらう。その表情、瞬き、体の重心、感情の揺れをAIに反映させることで、映像に人間らしい厚みが出ます。中島:人間の身体性を、AI表現に持ち込むわけですね。橋本:そうです。AIは強力ですが、人間の演技が持つ偶然性や温度までは簡単に生み出せません。だからこそ、実写とAIを対立させるのではなく、どう掛け合わせるかが重要になります。AIを使うことで撮影が不要になるのではなく、撮影の意味が変わる。そこに、新しい制作の可能性があると思います。プロンプトは「演出」である。言語化に生きるディレクターの経験中島:AIに意図を伝えるには、言語化の力も欠かせません。橋本さんは、プロンプトワークをどのように捉えていますか。橋本:プロンプトは、かなり演出に近い感覚です。以前ならスタッフに「あとはいい感じでやっといて」と伝えていた部分も、AIには通用しません。どんな光で、どんな距離感で、どんな感情を持ったショットなのか。頭の中にある映像を、できるだけ具体的に言葉にしなければならない。中島:広告映像のディレクターとして培ってきた経験が、そこに生きているのでしょうか。橋本:あると思います。限られた撮影時間の中で、クライアントの意図を汲み取り、スタッフや出演者に的確に伝える。その能力がディレクターには求められます。新しい企画を通すには、なぜその表現が良いのかを説明することも必要です。AIに対するプロンプトも同じで、曖昧なイメージを整理し、論理と言葉で方向づける力が求められます。映像の民主化がもたらす「ディストピア」とクラフトの責任中島:AIの進化スピードは凄まじく、先日話題になった動画生成モデルがわずか半年でサービス終了し、また新たな技術が台頭してくるような状況です。誰もが簡単にハイクオリティな映像を作れる時代になりつつあります。橋本:率直に申し上げて、私はこの現状に対して、映像文化が本当に好きな人たちにとってはある種の「ディストピア」になるのではないかという恐れを抱いています。中島:ディストピア、ですか。橋本:はい。映像の民主化が進むことで、誰もが手軽に動画を作れるようになります。しかしそれは同時に、世の中に出回る映像コンテンツの全体的なクオリティや、視聴者の映像リテラシーが下がってしまう危険性を孕んでいます。過去のクラシックな名作映画に触れたり、現場での泥臭い経験を積んだりすることなく、AIを使って「パッと見いい感じ」の動画を作っただけで「AIクリエイター」を名乗る人たちが増えてくるでしょう。アナログレコードが一部の愛好家のものになったように、映画などの質の高い映像文化が追いやられてしまうのではないかと危惧しています。中島:アマナのように、長年クリエイティビティの質にこだわってきた組織としても、そこは非常に危惧するポイントです。手軽さゆえに、本質的なクラフトの価値が軽視されてしまうのではないかと。橋本:まさにそこです。最近のAI映画祭などを見ていても、「AIを使ってここまで映像が作れた!」という技術的な目新しさばかりが評価され、本来であれば厳しく指摘されるべきクラフトとしての弱さが「大目に見られている」ことに違和感を覚えます。映像制作の劇的な民主化により、素晴らしくも恐ろしい時代が到来するかもしれません。中島:だからこそ、我々のようなプロフェッショナルが責任を持ち、テクノロジーに溺れることなく、質の高いものを作り続けなければならないのですね。橋本:もちろん、若い世代が新しい感性で、クラシカルな文法も踏まえながら素晴らしいAI動画を生み出す可能性も大いにあります。誰もが技術を持てるようになったからこそ、最後は純粋な「クリエイティビティの勝負」になります。より深い思考とアイデアを持つクリエイターが生き残っていくのは自明の理です。アマナ×AI動画制作の可能性——クラフトを手放さず、表現を拡張する中島:今日のお話から、AI動画制作にはワクワクする可能性と、慎重に向き合うべき課題の両方があることを改めて感じました。橋本:私の中にも、常にワクワクとモヤモヤが同居しています。でも、その両方がある状態こそ健全なのだと思います。何も考えずに飛びつくのでも、拒絶するのでもなく、葛藤しながら使い倒す。そうすることでしか、新しい表現は見えてこないのではないでしょうか。中島:アマナには、写真、映像、CG、レタッチ、デザインなど、長年にわたって培ってきたクラフトと審美眼があります。生成AIを単なる効率化ツールとしてではなく、クリエイターの想像力を拡張するパートナーとして活用することで、企業やブランドの「らしさ」をより強く、より豊かに可視化できるはずです。AIが表現の前提を変えつつある今、求められているのは、技術を使うことそのものではありません。何を伝えるべきかを見極め、どのような表現ならブランドの価値を高められるのかを考え抜くことが重要ですね。アマナとしても、創業から培ってきたビジュアル制作の深い知見とクラフトマンシップを決して手放すことなく、生成AIをクリエイターの想像力を無限に拡張するためのパートナーとして、積極的に活用・推進していきたいと改めて強く感じました。企業ブランドの価値を最大化する新たな表現を、これからも探求していければと思います。【Special Gallery】 橋本伸吾氏のAIパーソナルワークインタビューの締めくくりとして、橋本氏が生成AIを駆使して制作した、パーソナルワークを解説付きでご紹介します。作品01:『TOKYO LIMINAL』 TYO presents “TOKYO STORIES,” an AI film project.【作品解説】 古代の妖怪が今も潜む“見えない東京”を舞台にした、AI短編映画。インタビュー形式で妖怪たちの視点をたどりながら、変貌する川や揺らぐアイデンティティ、通知に支配される未来、失われた夜、引いては高さと支配に執着する都市社会を見つめます。本作は現代を直接批判するのではなく、民間伝承を通して、私たちの社会が他者の視点から見たときにいかに奇妙で異様に映るのかを静かに探ります。作品02:『UNWATCHABLE』 【作品解説】 「目も当てられない(めもあてられない)」ーー。状態があまりにもひどく、まともに見ていることができないさま。 愚かな人間たちを見て、猫は思う。「まったく、目も当てられないな。」 過去の生成AIクリエイターインタビュー記事はこちら第一回:AIクリエイターTakkaが語る、「10」の知見を「100」に変える生成AIの使い方取材・文:中島 輝(アマナ)編集・撮影:計盛祐子(アマナ)アマナのサービス・関連記事のご紹介アマナのサービス紹介プランニング&デザイン|A³ | amana AI Architectsブランドの「らしさ」を軸に、生成AIを活用したクリエイティブ設計・制作プロセスを構築。ブランド戦略から表現設計、PoCまで一貫して支援します。A³ | amana AI Architects 資料ダウンロードはこちらアマナのAI関連 制作事例スパイクスタジオ|AIと共にブランドの“意志”を実装する──アナログな対話から生まれたブランドガイドライン設計花王|AI活用を促すワークショップでブランド作りはどう変わるダイキン工業|デザイン×UI/UX×AIで、創造性と発想力を強化するアサヒグループジャパン|企画段階の新商品の世界観をPoCで可視化アマナのAI関連イベント アフターレポートブランドの一貫性は、なぜ「運用の現場」で崩れるのか?~アドビ×アマナ共催セミナーレポートなぜ、コピーしたプロンプトは応用が効かないのか ─ AIクリエイティブの現場を支える Prompt Architectureの設計思想AI活用の号令が、制作現場で止まるのはなぜか? ― 属人化から解放する生成AI導入プロセスAI × Creativeにおいて人間は不要なのか? ー AI Creative Studioが実践する、人とAIの制作プロセス
毎年、バルセロナのDisseny Hub Barcelonaで開催されている世界最大級のデジタルデザイン・フェスティバル「OFFF Barcelona」は、今年で26回目を迎えました。常に最先端のデジタル表現を追求してきたこのイベントが、今回、提示したのは、モーショングラフィックス、生成AI、インタラクティブアートの最前線です。しかし、それは単なる表現トレンドの更新ではなく、「ブランディングが、もはや固定的なビジュアルに基づくものではなく、変化し続ける存在へと変容した」という、大前提そのものの転換でした。ここでは、OFFF 2026で提示された表現の潮流を「ブランディング設計の新ルール」として読み解き、これからの時代に、ブランドはいかにして一貫性を保つべきかを考えます。ブランドは「培養」される時代へOFFF BarcelonaのOFFFとは、元々、「Online Flash Film Festival」の略でした。Flashとは、2000年前後にインタラクティブコンテンツやWebアニメーション制作の中心技術だったMacromedia Flash(後のAdobe Flash)を指します。そのFlashは今や過去の遺物となりましたが、OFFF Barcelona自体は名称を変更することなく、現代のクリエイティブ関連のものとしては世界最大級の国際イベントへと発展しました。まず、今年のOFFF Barcelonaを象徴していたのは、参加者のIDタグのデザインにも応用されたフェスティバル自身のビジュアルアイデンティティです。OFFF Barcelona 2026 'Cultured' campaign by UncommonCulturedプロジェクトによって「培養」されたOFFF Barcelonaのロゴイメージ「Cultured(「培養された」と「文化がある」のダブルミーニング)」と名付けられたこのビジュアルアイデンティティは、イギリスのUncommon Creative Studioが手がけました。彼らは、事前にロンドンとニューヨークのスタジオにクリエイターたちを招いて交流イベントを開き、グラスや皿、エレベーターの階床ボタンなどの表面に残った指紋や皮膚片、服の繊維、バクテリアなどを収集したのです。それらを元に、アーティストのMould Queen(カビの女王)ことDasha Plesenがカビを培養し、その形状や質感を、OFFF Barcelonaで使用されるフォントやビジュアルアイデンティティ全体に応用しました。この過程は、こちらの動画で確認することができます。 Uncommon Creative Studio/OFFF '26 Reveal Filmこの「Cultured」の根底にあるのは、ブランドアイデンティティを固定的なデザインで規定するのではなく、「生成の条件」を設計し、そこから育つ無数のバリエーションすべてをアイデンティティとして扱う、つまり、「ブランドが培養される」という考え方です。イギリスの国際的なクリエイティブメディアであるPeople of Printは「(Culturedプロジェクトは)クリエイティブを、デザインされるものではなく育てられるものとして位置づけた」と評し、新たなブランディングの在り方が示唆されました。これは、イベントの公式メッセージである「クリエイティビティは、生きた協働的なコミュニティから集められた参照・アイデア・視点を、執拗に収集しキュレーションすることで形づくられる」にも呼応するものです。それでは、ブランドが培養されるものだとすれば、企業のブランディング設計はどう変わるべきなのでしょうか?ここからは、OFFF Barcelonaで示されたその方向性を、3つの潮流に整理し、紹介していきます。OFFF Barcelona 2026で顕在化した3つの表現トレンド1. モーショングラフィックスが主役になった今年のOFFF Barcelonaにおける最大の公開プログラムは、2年目を迎えたファサードのプロジェクションマッピング企画「The Screen」でした。イベント主宰者とベルギーの3DスタジオFrameboyが共同で制作し、3夜連続でメイン会場のDisseny Hub Barcelonaの建物外壁を使って上映されたこのモーショングラフィックスアートは、イベント参加者以外でも無料で観覧できました。まず、Laundry Studiosによって制作された約9分のメインタイトル映像が、変化し続けるタイポグラフィと色彩によって登壇者たちを讃え、その後に、735もの国際的な応募作品から選出された280作品が続きました。この企画によってOFFF Barcelonaは、モーショングラフィックスがもはや特別な表現手段ではなく、視覚表現の主流になりつつあることを印象づけたといえるでしょう。 OFFF Festival/OFFF Barcelona 2026 'The Screen' mapping aftermovie2. 生成AIはツールを超えて制作プロセスそのものにそのThe Screenに映像出展したバルセロナのOnion Labによる「Ciutat Contínua」は、生成AIの支援によってバルセロナの建築的アイデンティティを横断・再解釈する連続的なシーケンスを生成した作品でした。また、新人発掘プログラムのNXTには、リサーチ、アイデア出し、アニメーション、プレゼンテーションまでのほぼ全工程に生成AIを用いた実験的プロジェクト「90% AI」も含まれていました。先のPeople of Printが「AIは、ほぼすべての話題に忍び込んでいた」と記したように、生成AIは特殊なトピックではなく、制作プロセスの重要な前提になりつつあると考えてよいでしょう。3. 有機的・インタラクティブな表現の広がり同じくThe Screenに出展したSomniaLabの「Cartography of Touch」は、ダンサーたちの手の動きが建築のファサードに触れて彫刻するように見える錯視的なパフォーマンス映像によって、身体と建築の相互作用を描きました。実際の講演プログラムにも、日本のチームラボ、アメリカのVolvox Labs、カナダのMoment Factory、同じくカナダのSilent Partners Studioといった体験型・没入型のクリエイティブスタジオが登壇し、「静止した完成品」ではなく「観客との関係の中で変化し続ける表現」が主流になってきたことを示したといえます。 この投稿をInstagramで見る DueTeatre(@dueteatre)がシェアした投稿SomniaLab「Cartography of Touch」は、ダンサーと会場ビルのファサードの動きを連動させ、身体と建築の相互作用を描きだした(SomniaLabのInstagramより)これらの3つの表現トレンドに共通するのは、アウトプットの完成形が1つに定まらないという点です。そして、それが、これからの企業ブランディングにも大きな影響を与えていくものと予想されます。OFFF Barcelona 2026では、このような3つの表現トレンドが顕在化した。 「制御」の対象が変わったことによる静的ガイドラインの限界OFFF Barcelonaで提示された潮流を踏まえると、従来の静的なブランドガイドラインに限界が訪れつつあることが読み取れます。そうしたガイドラインは、ロゴのサイズや縦横比、カラー、余白、書体などの「静止した状態」を規定するものでした。しかし、表現の主戦場がモーショングラフィックス、生成AI、インタラクションへ移っていくと、静的なルールブックは必然的に制御すべき対象そのものを見失っていきます。もしも、ロゴの動き方がバラバラだったり、AIが生成するビジュアルの方向性が毎回異なっていれば、受け手の中にブランドイメージが蓄積されにくくなることは、容易に想像がつくでしょう。会期中の話題の中心も、「生成AIによって誰もが同じ参照元から作れる時代に、差を生むのは何か?」という問いでした。つまり、無数のバリエーションが瞬時に作れる時代のブランドの競争力は、どこにあるのかということです。こうした疑問に対して、Uncommon Creative Studioの共同創業者であるNils Leonardは「誰かが君のアイデアが盗むのではない。(そのアイデアを実際のクリエイティブに落とし込む)君(の作業)が遅すぎただけだ」と挑発し、「最終的な差を生むのは(アイデア自体よりも)テイストや判断力」であり「何を許し、何を許さないかという判断の一貫性がブランドの競争力になる」という見解が示されました。それは、「ブランドが静的なルールによって規定される時代が終わり、『どこまで変化してよいか』を定めた動的なルール体系によって定義されていく」といいかえることもできるでしょう。そこで必要となるものが、動的なブランディング設計です。動的ブランディング設計の中核となる3つの構成要素そのような変化を前提とした動的ブランディングは、どのように設計されるのでしょうか? 改めてOFFF Barcelonaでの事例を踏まえて整理すると、見えてくるのは次の3つの要素です。第一に「生成ルール」: これは、AIや自動生成の仕組みに与える、変化の許容範囲です。具体的には、ブランドのシンボルや哲学、禁止事項などの不変の核と、色調やモチーフの振れ幅、参照データの範囲などの可変領域を明確に分け、プロンプトや参照データセットとして実装します。Uncommon Creative Studioの「Cultured」が示したように、生成条件さえ正しく設計されていれば、アウトプットが毎回異なったとしても、ブランド自体が揺らぐことはないといえるでしょう。第二に「モーション言語」:これは、ブランド固有の「動き方」の定義です。イージングの質感、速度、リズム、トランジションの作法が、ロゴやカラーと同じくブランドのパーソナリティを伝える重要な要素となります。The Screenのメインタイトルが、変化し続けるタイポグラフィの中でも一貫した世界観を保つことができた理由は、動きのトーン&マナーがしっかり規定されていたからなのです。第三に「インタラクション」: これは、ユーザーの操作や環境に対して、ブランドがどう応答するかを定めたルールです。SomniaLabが身体と建築の「触れ方」を設計したように、タップへの反応速度や気配の返し方は、ブランド体験の記憶を左右することになります。これらの3つの要素に共通する視点は、「一貫性」という言葉が持つ意味の更新にあたるでしょう。つまり、「常に同じ見た目であること(同一性)」から、「どんなに変化しても同じ判断基準から生まれているとわかること(変化の再現性)」への移行です。生成AIとモーション表現の時代においては、このような新たな一貫性が重要になると考えられます。動的ブランディング設計では、これらの3つの構成要素が重要となる。 タッチポイントへの応用そうした新たな一貫性を、日々のブランド運用に応用するとどうなるでしょうか?たとえば、SNSでは、投稿ごとにビジュアルを変えつつも、生成ルールをテンプレートとプロンプトの形で運用に組み込むことで「らしさ」が保たれます。映像広告では、媒体や尺が異なってもモーション言語を共通化することで、15秒のTVCMと長尺のブランドムービーから同じパーソナリティを感じられるでしょう。UIでは、ボタンの反応やローディングといった個々の細かなインタラクションに共通のモーション言語を実装することで、日常的な操作の中でブランドを体験させることが可能になります。このような観点から、これからのブランド戦略を考えると、まず、ブランディングのガイドラインが「動き」と「変化の範囲」を定義しているかどうかをチェックする必要が出てくるでしょう。生成AI時代のガバナンスと失敗パターン一方で、OFFF Barcelonaでは動的表現の落とし穴も語られました。失敗の典型は、大きくわけて2つ存在しています。1つ目は「変化しすぎて一貫性が失われるケース」です。具体的には、生成AIの出力を制御するためのプロンプト設計が不十分なために、ブランドイメージが曖昧なものとなってしまいます。AIブランドガバナンスの欠如が、出力結果にそのまま表れてしまうのです。2つ目は「ノイズ的な表現に意味が伴わないケース」です。これは、派手なモーションや生成されたエフェクトがブランドの思想や哲学につながらないまま、単なる面白さやインパクトとして消費されるパターンといえます。OFFF Barcelonaでは、動的表現の落とし穴として、代表的な失敗パターンが2つ指摘された。デザインスタジオのForealの講演では、生成AIの話題で持ちきりの会場で、あえて「スケッチ」という原始的な手法に触れながら、「ツールがいくら進化しても、(クリエイターの)テイストや直感、粘り強さを置き換えることはできない」と結論づけました。つまり、生成AIなどを活用して表現の自由度を最大化しながらも、出力結果の意味づけや判断は人間が行うことが大切なのです。動的ブランディングの成否は、そのバランスがしっかり設計できているかどうかにかかっている、と考えてよいでしょう。動的ブランディングを設計・運用するパートナー動的ブランディングの設計や運用には、ブランド戦略はもちろん、モーションやビジュアルの制作力、そして生成AIの実装知見という異なる能力を統合して適用することが必要です。しかし、多くの企業にとって、それを自社単独で担うのは容易ではありません。アマナは、約半世紀にわたって企業のビジュアルコミュニケーションを支援してきた知見のうえに、生成AIをブランド運用に組み込むソリューション「AI Creative Architecture」を展開しています。その中核となる「らしさAI」は、光、色、構図などを含むブランド表現を構造化することによって、ブランドらしさを表現するパラメータや生成ルールを設計可能にした技術です。さらに、生成物がブランドの基準を満たしているかを客観的に評価・選別するスコアリングの仕組みも導入しており、これは、ここで述べてきた動的な生成ルール設計やブランドガバナンスの考え方とも重なる仕組みです。さらに、AI専門組織である「A³|amana AI Architects」は、アートディレクターやフォトグラファー、CGアーティストなどのクリエイターと、AI技術やデータマネジメントに精通した専門家によって構成され、ブランド固有の美意識をAIに翻訳する基盤設計から、グラフィックやムービーの制作、PoC、ガイドライン整備、リスクマネジメントまでを一気通貫で支援する体制を整えています。これからの動的なブランディングを見据え、自らも積極的に挑戦していこうとする企業にとって、変化し続けるブランド体験を共に設計し、運用するパートナーでありたい。アマナは、そう考えて、人の感性と生成AIのスピードや再現性を組み合わせながら、「ブランドらしさ」を守りつつ表現の可能性を拡張する、新しいクリエイティブ基盤の構築を支援しています。文・図版:大谷和利 アマナのAI関連記事ロケか、生成AIか、融合か――生成AI時代の映像制作における「意思決定」のルールCreative Tech London 2026|生成AI活用の勝敗を分ける「運用力」とは生成AI時代のブランドガバナンス設計|ガイドライン・承認フロー・C2PAを実務視点で解説AI関連広告が約4分の1。2026年スーパーボウルCMに学ぶ「良手・悪手」と使いどころ『生成AI × ブランディング』事例に見る成功と失敗の境界線
世界最大規模のクリエイティビティの祭典「Cannes Lions International Festival of Creativity(カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル)」。広告やマーケティングにとどまらず、デザイン、テクノロジー、ビジネス変革など、幅広い領域における優れたクリエイティブが世界中から集まります。2026年は92カ国から20,050件の作品がエントリー。AIを活用したクリエイティブが広がる中、AIを活用した制作技術を評価する「AI Craft」のサブカテゴリーも新たに設けられました。一方、受賞作品から見えてきたのは、テクノロジーそのものの新しさだけを競うのではなく、それを通じて人や社会、ブランドとの関係をどう変えるのかという視点です。さらに、2026年に新設されたCreative Brand Lionsでは、優れたクリエイティブを継続的に生み出す企業の仕組みや文化、能力そのものが評価対象となりました。こうした新部門の登場や受賞作全体を見ると、クリエイティビティの領域は、一つの広告表現から、組織、商品、サービス、事業の仕組みへと広がっていることがうかがえます。こうした変化の中、「優れたブランド体験」とは、どのようなものなのでしょうか。2026年の代表的な受賞作品を紹介するとともに、カンヌライオンズ全体から見えてきたクリエイティブの潮流を読み解きます。カンヌライオンズ2026注目受賞作品の紹介1.Creativity at Scale受賞カテゴリー:Creative Brand Lions/Grand Prix受賞広告主:AB InBev2026年に新設されたCreative Brand Lionsで、初代Grand Prixに選ばれたのが、BudweiserやCoronaなどのビールブランドを世界各地で展開するAB InBevの「Creativity at Scale」です。これは、一般的な意味での一つの広告キャンペーンではありません。評価されたのは、AB InBevが世界各地、複数のブランドで優れたクリエイティブを継続的に生み出すために構築してきた組織文化や仕組みそのものです。同社は2018年以降、マーケティング組織の能力開発を進め、クリエイティブの開発や評価に用いる独自のフレームワーク「Creative X」などを通じて、企画や評価のプロセス、社内の共通言語を整備してきました。約2,400人のマーケターやリーダーを対象としたトレーニングに加え、外部の専門家が定期的にクリエイティブを評価する仕組みも運用しています。優れたアイデアを偶発的に生み出すのではなく、クリエイティビティを繰り返し発揮できる企業能力にする。「優れたクリエイティブが生まれ続ける環境」をつくった点が、この取り組みの大きな特徴です。 出典:https://www.thestable.com.au/cannes-lions-ab-inbev-is-the-inaugural-winner-in-creative-brand/ 2.The Faroe Islands Space Program受賞カテゴリー:Creative B2B Lions/Grand Prix受賞広告主:SKF出典:@LLLLITL/SKF - The Faroe Island Space ProgramCreative B2B LionsのGrand Prixに選ばれたのが、ベアリングをはじめとする産業機器を手掛けるSKFの「The Faroe Islands Space Program」です。専門性の高いBtoB技術を、壮大な物語へと翻訳しました。SKFは、潮流を利用した海洋エネルギー技術を開発するMinestoと協業しています。この技術の源となる潮流は、月の引力によって生まれます。そこで、「人類は宇宙まで行かなくても、地球上ですでに月のエネルギーを利用できる」という発想から、フェロー諸島で進められる潮流発電の取り組みを「地球を離れない宇宙計画」として打ち出しました。一般的な産業機器の広告であれば、性能や耐久性などのスペックを中心に説明するところ、本作は「月の力でエネルギー問題に挑む」という物語を構築。実在する技術協業をベースに、映像やソーシャルメディア、記事などへ展開しました。難しい技術を単純化するのではなく、その技術が社会にどのような意味を持つのかを、誰もが理解し、語りたくなる世界観へ変換する。専門的な技術を扱うBtoB企業にも、新たなブランドコミュニケーションの可能性があることを示した事例です。3.Supernova Adaptive受賞カテゴリー:Innovation Lions/Grand Prix受賞広告主:adidas出典:@LLLLITL/adidas - Supernova AdaptiveInnovation LionsのGrand Prixを受賞したadidasの「Supernova Adaptive」。実際の商品名は「Supernova Rise 3 Adaptive」で、障害のある人を含む多様なアスリートとともに開発されたパフォーマンスランニングシューズです。開発のきっかけの一つとなったのが、ダウン症のある人として初めてトライアスロンのIronmanを完走したChris Nikicとのパートナーシップでした。既存のシューズでは足に痛みや靴擦れが生じるという課題を起点に、adidasはインクルーシブな商品開発を支援するGAMUT Managementと協業。当事者へのヒアリングや製品テストを重ねました。完成した商品には、足を入れやすいヒール構造、圧迫を抑えるシューレース、触覚で認識しやすい要素、調整しやすいマグネット式トグルなど、実際の利用者の声を反映した機能が盛り込まれています。インクルーシビリティについて広告で語るのではなく、当事者を開発プロセスの中心に置き、使う人の体験そのものを商品によって変える。2026年のInnovation Lionsでは、アイデアや試作品の可能性を示すだけでなく、実際に社会へ実装し、変化を生み出すことが重視されました。こうした考え方を象徴する取り組みです。4.The Periodic Fable受賞カテゴリー:Health & Wellness Lions/Grand Prix受賞広告主:The Ordinary出典:@Deciem/Introducing The Periodic Fable™Health & Wellness LionsのGrand Prixに選ばれたのが、成分や価格、科学的根拠の透明性を重視するスキンケアブランドThe Ordinaryの「The Periodic Fable」です。美容業界で当たり前のように使われている言葉そのものに目を向けました。The Ordinaryは、科学者とともに、科学的・規制上の根拠がないとして選定した49の美容マーケティング用語を、あたかも化学元素であるかのように整理。「Medical Grade」などの言葉を並べた架空の元素周期表をつくりました。さらに、無機質な教室で人々が「元素」を暗唱しながら、SNSで流行するスキンケアのルーティンを繰り返す映像や、屋外広告(OOH)、Webなどへ展開。美容業界にあふれる、科学的に聞こえる表現や過剰なトレンドを批評しました。特徴的なのは、自社商品の優位性を直接アピールするのではなく、業界そのものに問いを投げかけたことです。「科学」や「透明性」を重視してきたThe Ordinaryだからこそできる行動を通じて、ブランドの立場を鮮明にしています。ブランド体験とは商品を使う瞬間だけでなく、「そのブランドが世の中をどう見ているのか」に触れることでもあると示した作品です。5.Expedition Impossible受賞カテゴリー:Brand Experience & Activation Lions/Grand Prix受賞広告主:Columbia Sportswear 出典:@LLLLITL/Columbia - Expedition ImpossibleBrand Experience & Activation LionsのGrand Prixを受賞したのが、米国発のアウトドアブランドColumbia Sportswearによる「Expedition Impossible」です。仕掛けたのは、「地球が平らだと証明できた人に会社をプレゼントする」という大胆なチャレンジでした。地球平面説を信じる人々に対し、「地球の端」まで行き、その存在を証明するよう呼びかけました。ローンチ映像にはCEOのTim Boyleが出演。その後、ソーシャルメディアやYouTube、Redditに加え、地球平面説に関するブログやフォーラムにも入り込み、議論の当事者たちに直接挑戦を投げかけました。Columbia Sportswearは、この挑戦を「地球の端を探しに行く探検」に見立てることで、自社が持つアウトドアブランドとしての冒険精神とも結び付けています。興味深いのは、体験型広告でありながら、大規模なイベントや特別な施設を用意していないことです。人々が反応し、議論し、挑戦するプロセスそのものをブランド体験へ変えました。生活者を広告の「受け手」ではなく、アイデアを成立させる「参加者」にした点が、高く評価された理由の一つです。カンヌライオンズ2026に見る3つのクリエイティブトレンド2026年のカンヌライオンズを振り返るうえで、AIをはじめとするテクノロジーの存在は無視できません。しかし、受賞作全体を見ると、「AIを使ったこと」だけがクリエイティブの価値になる時代はすでに過ぎつつあるように見えます。その視点から2026年の受賞作を見ていくと、「優れたブランド体験」の意味そのものが広がっていることが分かります。1.ブランド体験は「接点」から「企業の振る舞い」へこれまでブランド体験という言葉は、店舗やイベント、Webサイトなど、生活者との接点をどう設計するかという文脈で語られることが多くありました。2026年は、その範囲がさらに企業活動そのものへと広がっています。象徴的なのが、新設されたCreative Brand Lionsです。同部門が評価するのは、一つの優れた広告ではなく、それを継続的に生み出すために企業が持つ仕組みや文化、能力です。また、事業変革や広告効果を評価する部門でも、商品やサービス、事業の仕組みそのものに踏み込んだ取り組みが評価されています。生活者がブランドに抱く印象は、広告だけでつくられるものではありません。どのような商品を生み出すのか。どのようなサービスを提供するのか。社会の課題に対して、どのような行動を取るのか。その一つ一つがブランドを形づくります。2026年の受賞作から見えてくるのは、「ブランドが何を語るか」だけではなく、「ブランドがどう行動・振る舞うか」そのものが体験になるという変化です。2.「伝えるクリエイティブ」から「変化を実装するクリエイティブ」へもう一つの特徴は、アイデアを提示するだけでなく、実際の変化につなげるクリエイティブが評価されていることです。2026年のInnovation Lionsでは、アイデアや技術の可能性を示すだけでなく、それを実際に社会へ実装し、どのような変化を生み出したのかを重視する考え方が示されました。優れた技術やアイデアがあることを証明するだけではなく、それによって誰の体験が、どのように変わったのかが問われています。この傾向はInnovationに限りません。2026年の受賞作には、商品を変える、契約内容を変える、これまで廃棄されていたものに新たな流通の仕組みをつくるなど、広告の外側にある仕組みそのものへ働きかけるものが見られました。社会課題について「語る」だけでなく、自社が持つ商品やサービス、事業を通じて実際の変化をつくる。クリエイティビティは表現を生み出す力から、変化を実装する力へと、その役割を広げています。3.生活者を「受け手」ではなく、ブランドを成立させる参加者にするブランドと生活者の関係にも変化が見られます。ブランド側が完成された広告や体験を提供し、生活者がそれを受け取る。そうした一方向の構造ではなく、生活者が参加し、選択し、反応することで初めて完成するクリエイティブが存在感を増しています。Columbia Sportswearの事例はその象徴ですが、この傾向は体験型広告の部門だけにとどまりません。メディアや購買体験を扱う部門でも、広告、商品、購入までの導線、個々の生活者に合わせた情報提供などを横断しながら、生活者の行動自体を体験に組み込む試みが見られました。重要なのは、単に「参加型キャンペーン」を実施することではありません。人が参加したくなる理由をつくり、その行動によってブランドとの関係が変化するところまで設計することです。こうして見ると、2026年のカンヌライオンズが示した「優れたブランド体験」とは、派手なイベントや先進的なテクノロジーだけを意味するものではありません。組織、商品、サービス、コミュニケーションを通じて、ブランドが一貫してどのように振る舞い、人や社会にどんな変化を生み出すのか。その総体を設計することが、これからのブランド体験に求められているのではないでしょうか。ブランドの価値を、体験としてどう形にするか「自社らしいブランド体験をつくりたい」と考えても、何から始めればよいのか分からないという企業は少なくありません。ブランドとして伝えたい価値はあっても、それをどのような接点で、どのような体験や表現として届けるのか。広告、商品、Web、映像などの施策が個別に進めば、それぞれのクオリティーは高くても、ブランドとしての体験が分断されてしまうこともあります。重要なのは、まず自社が大切にする価値や目指す姿を整理し、そこから生活者との接点やクリエイティブを一貫して考えることです。アマナでは、社内外への調査や企業ビジョンの掘り起こし、社員を巻き込んだワークショップなどを通じてブランド戦略を描き、クリエイティブの力でブランドの世界観を形にする「ブランディング」を支援しています。また、ブランドの価値や世界観を、人の感情を動かす表現として届けるうえで、映像も重要な接点の一つです。TVCMやWeb動画、企業紹介映像など、目的や届けたい相手に合わせた「TVCM/ムービー撮影」にも対応しています。2026年のカンヌライオンズが示したように、ブランド体験は一つの広告やキャンペーンだけで完成するものではありません。自社が大切にする価値を明確にし、それをどのような行動、接点、表現として一貫して届けていくのか。ブランドと人との関係を改めて設計することが、これからのクリエイティブの出発点になりそうです。文:小林拓美過去の広告賞記事:The One Show 2026に見るクリエイティブトレンド──社会との接点を、ブランドらしい「体験」へ変える2026年Clio Awards(クリオ賞)受賞作品に見る、ブランド体験と「実装型クリエイティブ」の最新トレンド【ADFEST 2026速報】テーマは「Human+」。AI時代のブランド体験を再定義する6つの受賞事例2025年ロンドン国際広告賞に見る、グローバル広告の潮流と進化する“自分ごと化”戦略2025年ニューヨークフェスティバル広告賞に見る、社会共感とクリエイティブ技術のトレンド2025年MAD STARS受賞作品にみるAI時代のクリエイティブと最新トレンド交通広告グランプリ2025から読み解くヒント「シンプルな表現で心を動かすには?」第46回日本BtoB広告賞から読み解くヒント「自社の想いをどう形にするか?」2025年カンヌライオンズに見る、ブランド体験・社会課題・ビジネス変革の現在地
パナソニック エナジー株式会社のコーポレートサイトリニューアルをアマナにて担当しました。 セッションを重ね、既存のCMSへ最適化しながらデザイン指針を策定。 ディレクターとクリエイターの知見を掛け合わせ、緻密なグリッドレイアウトによって企業の信頼性と実直な姿勢を体現しました。トップページのキービジュアルでは、電池技術を牽引するパナソニック エナジー株式会社のアイデンティティを明確に打ち出し、サステナビリティページでは、同社が目指す循環型社会の世界観を、論理的な構造設計と豊かなビジュアル表現で両立させています。
ポーラのグローバルマーケットに向けた2026年春節プロモーションのキービジュアルと、販促用ツールデザインをアマナにて制作しました。 グローバル市場(主にアジア市場)のインサイトに精通したクリエイティブチームが、キービジュアルとトーンアンドマナーを揃えたショッパーやギフトボックス、紅包(ホンバオ・中国版お年玉袋)まで、一貫したディレクションを行いました。干支の馬には西洋的なメリーゴーラウンドのモチーフを採用し、日本の高品質なブランドイメージにふさわしい上品で洗練されたビジュアルを制作。競合がひしめく春節商戦において、オリジナリティのある上質なクリエイティブがブランド体験の価値向上に貢献したと、お客様や各国のリテール現場からも高い評価を得ました。
東京都品川区にグランドオープンした複合施設「OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)」。コンセプト体現の一環として、ターゲットである子育て世代に向けたイベントコンテンツプログラムをアマナにて企画、開催しました。 子どもの創造性を触発するワークショップ「amana for kids」の知見を活かし、プロのクリエーターが講師を務めるサイアノタイプ(日光写真)のプログラムを実施。施設初のキッズイベントとして事前予約は満席となり、五感をフル活用したワークショップは保護者の事後アンケートでも極めて高い満足度を獲得。ターゲット層へのアプローチに貢献しました。